岐阜脳卒中リハビリテーション研究会
―その拠点は岐阜。  脳卒中リハビリテーションを、“机上の空論”や“小手先のHowto”だけでなく、「機能解剖から臨床応用へ」と繋ぐべく、活動していきます。
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神経系理学療法の変遷
科学的根拠に基づく理学療法 潮見泰蔵監訳 エルゼビアジャパン 2008

の論文等を読み、感じたことをまとめていきます。

一個人の意見ですので、実際の内容とは異なる可能性がございます。
詳細は原著をご覧ください。




 理学療法実践の歴史や変遷を理解することによって、神経系理学療法の歴史上の変化をみることができる。


 1900~1950年頃は筋力改善を中心とした、矯正運動や筋再教育(いわゆる筋力トレーニング)が主流であった。


 1950年代になると神経生理学・神経発達学の台頭によりファシリテーション手技が生まれ、神経理学療法の歴史に大きな影響を与えた。
これまでの理学療法とは異なり、その焦点は筋から“非筋要素”へと変化したのである。
すなわちBobath,NDT,Rood,ブルンストロームなどであり麻痺や筋力低下という陰性兆候よりも痙性や筋緊張といった陽性兆候に、その治療コンセプトは重きを置いた。


 1990~2000年になると、運動制御のメカニズム、筋生理学、バイオメカニクス、スキルの獲得、運動科学、心理学といった学問体系の発展により、神経理学療法分野にもそのよさが取り入れられた。
具体的には運動学習理論や課題指向的アプローチがそうである。


 近年2000年以降では、PET,fMRI,fNIRSといった脳イメージング機器の発明や脳科学の発展により、脳の可塑性に着目した治療が注目されている。
CI療法や認知神経リハビリテーションなどがそうである。
巷においても“脳トレ”と言われる様に、もはや「脳を鍛える」という考えは市民権を得ているのではないか。
またBMI(Brain Machine Interface)に代表されるようないわゆる、ロボット・電子機器を併用したリハビリテーションも進化を遂げており、現在の神経理学療法界はまさにパラダイムシフトを迎えている。




このようにその時代、その時代ごとの科学的背景に応じて、治療形態は大きく様変わりしてきました。

ここに、現代の神経系理学療法の1つの問題点が浮かび上がります。
世代ごとに違う理学療法士のそれまでに学んできた学習背景・立場の違いによって、治療的思考に違いが生まれるのです。


例えば、ある一つの症候を同時に複数の理学療法士で観察したとしても、ある理学療法士Aは筋力の問題であると捉え、また理学療法士Bは筋緊張の問題であると捉えます。
あるいは理学療法士Cは脳実質の運動イメージの問題と捉えるかも知れません。
問題点の抽出が人によって違ってくることがあります。



このように神経系理学療法の臨床思考の過程において、各理学療法士間の考え方の幅は、ある程度、“許されて”いるように思われます。
もちろん実際の臨床の中では、一人の患者様に対し、様々な可能性に応じた治療が行なわれることには、全くの異論はありません。
しかし、同一に観察された現象に対する立場の異なった根本的な仮説が、
異なった仮説・検証への進展や、異なった治療プログラムをもたらすことは、科学に基づく理学療法としても、治療対象者である患者様にとっても、危険であるように感じます。



ここまで、神経系理学療法における歴史とその変遷の一部を垣間見ました。

そこには理学療法の発展と、今後の課題を示しているように思えました。


「ゆえに、
重要なことはこれらの機能障害の外見上の徴候の根本的な原因に関する新しい知識に遅れないことだ,
このことによって治療が、能力障害に対して最も適切に寄与することが確実になる」
(Julie Bernhardt and Keith Hill)









すべては患者様のために
坪井 祥一
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