岐阜脳卒中リハビリテーション研究会
―その拠点は岐阜。  脳卒中リハビリテーションを、“机上の空論”や“小手先のHowto”だけでなく、「機能解剖から臨床応用へ」と繋ぐべく、活動していきます。
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視床の機能解剖
機能解剖で斬る神経系疾患 中野隆編著 メディカルプレス 2011 P190~

の論文等を読み、感じたことをまとめていきます。

一個人の意見ですので、実際の内容とは異なる可能性がございます。
詳細は原著をご覧ください。




視床は「大脳皮質」と「下位中枢」の中間に位置する脳器官である。
視床はこれら双方向性の連絡により大脳皮質の機能に深く関与している。

そのためこの部位の障害では多彩な中枢神経症状が生じるのである。



視床を機能面からみて、4つに分類する。
1)後部、2)腹外側部、3)前部、4)背内側部である。


1)後部
VPL核は頚部以下の体知覚、すなわち表在感覚・非識別型触覚および意識型深部感覚・識別型触覚の中継核であり、脊髄視床路からの入力を受ける。
VPM核は顔面および頭部からの体知覚の中継核であり三叉神経視床路から入力を受ける。
これらVPL核・VPM核からは、area312へ向けて視床皮質路が投射される。
外側膝状体は視索からの入力を受けarea17へ視放線を投射する。
内側膝状体は外側毛帯からの入力を受けarea41へ聴放線を投射する。
主に視床膝状体動脈(PCLの分枝)が支配する。


2)腹外側部
VL核は大脳基底核や小脳と共同して、運動制御に重要な役割を果たしている。
すなわち大脳-基底核ループあるいは、大脳-小脳ループである。
主に視床膝状体動脈、視床穿通動脈(PCL)、視床灰白隆起動脈(PCL)が支配する。


3)前部
AN核は大脳辺縁系に関与し、Papezの回路(海馬→乳頭体→視床AN→帯状回→海馬傍回→海馬)を形成することにより記銘機能を司る。
視床灰白隆起動脈が支配する。


4)背内側部
DM核は前頭前野に関与し、Yakovlevの回路(扁桃体→視床DM→帯状回→扁桃体)を形成することにより情動・思考・意欲・感情などを司る。また脳幹網様体からの自律神経情報も入力され、意識・覚醒などにも関わる。
前脈絡叢動脈(内頚動脈の分枝)・後脈絡叢動脈(PCL)が支配する。



以上のように、視床においても、どの部位が障害されるかによって、その出現する内容は異なることが分かる。
著名な症候としては、VPL核・VPM核障害による感覚障害、感覚性運動失調、
またVL核障害による大脳基底核を介した運動制御の障害、および小脳を介した小脳性運動失調やCCAS、
そしてAN核・DM核障害による記憶・情動・認知・覚醒障害が出現する可能性がある。


さらに重要な事は、視床が内包と隣接していることにある。
内包は前脚(皮質橋小脳路、視床放線)・膝(皮質延髄路)・後脚(皮質脊髄路・視床放線・皮質橋小脳路・視放線・聴放線)からなり、運動神経を中心とした重要な神経路を構成している。
例えば上述した、いくつかの穿通動脈は脳血管障害の好発部位であり、視床の血管性病変により、周囲に生じた血腫や浮腫による圧迫や病巣の進展によって、二次的な内包障害をもたらす可能性がある。


ここに視床病変の複雑さが存在している。
例えば視床穿通動脈の障害による、VL核と内包後脚の同時障害にて反対側の片麻痺と運動失調が出現、
いわゆるataxic hemiparesisという症候となりうる。
しかし多くの場合、運動失調は目で確認できるほどには至らない可能性がある。
それは、運動麻痺が重度化しているからである。




脳血管障害の評価はその対象が“脳”であるがゆえに、出現した臨床像に対する解釈は難解を示すことが多く、実際には、理学療法士が目に見える「動作」や「姿勢」のレベルで、その解釈を都合付けていることが少なくないように思われます。

しかし脳には個人差があることを前置きした上で、視床のVPL核は誰においてもVPL核であるし、視床AN核はどの脳においても、必ず同じ場所にあるはずであることは、前述した解剖学的背景から間違いはないと考えられます。

つまりこの考え方によって、視床脳血管病変における病態解釈は容易となりうるし、その理学療法はより根拠に基づいた評価・治療となると考えられます。




すべては患者様のために
坪井 祥一
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コメント
コメント
視床
拙著をお読みいただき光栄に存じます. 視床の機能解剖は,とても面白いですね. ついでに,視床の語源も...
2011/09/06(火) 15:02:39 | URL | 中野 隆 #- [ 編集 ]
Re: 視床
中野隆先生
当ブログにお越しくださいまして、誠にありがとうございます。
大変光栄であります。

視床の語源についてアップしました。
よろしければ、ご確認くださいませ。
2011/09/06(火) 21:13:48 | URL | 岐阜脳卒中リハ研究会 #- [ 編集 ]
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