岐阜脳卒中リハビリテーション研究会
―その拠点は岐阜。  脳卒中リハビリテーションを、“机上の空論”や“小手先のHowto”だけでなく、「機能解剖から臨床応用へ」と繋ぐべく、活動していきます。
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高次脳機能と理学療法
2011/08/18,19,20
●第10173回 理学療法士講習会●

【高次脳機能と理学療法】
(高倉 保幸 先生   埼玉医科大学保健医療学部
 杉本 諭 先生    帝京平成大学健康メディカル学部
 薮崎 純 先生    埼玉医科大学総合医療センター)


埼玉県川越市にて3日間にわたり開催された上記研修会に参加して参りました。

患者様の明日からの糧となるよう、心に残ったことを、書き綴っていこうと思います。




・「やっぱり高次脳機能障害があるからしょうがない。」
PTの業界ではこんな言い訳を耳にすることは、珍しくないという。

しかし、脳のネットワークが傷害される脳血管障害の患者様は、
なんらかの高次脳機能障害を有している可能性がある。

同程度の運動麻痺であるにも関わらず、歩ける患者様、一方で歩けない患者様、
といった動作能力に差がある患者様達をみて、
その差がもし“高次脳機能”にあるのだとしたら、その時理学療法士は、何を思うのか。

ここに高次脳機能を理学療法へ応用する必要性を感じることができる。


・高次脳機能をみる上で「知」・「情」・「意」という考え方がある。
「知」:認知機能(知覚・記憶情報の統合)を司り、頭頂葉・側頭葉・後頭葉からなる。
「情」:情動や感情を司り、辺縁系からなる。
「意」:遂行機能(意志の決定や行動の実行)を司り、前頭葉からなる。

基本的な太い流れとして、外内部からの情報が「知」覚され、「意」志を決定し、行動へ移すという流れがある。
それと同時に「情」動がその行為に対し、感情をプラスさせ、行動にコントラストを付けている。

この3つのセグメントは互いに促通しあったり、抑制しあったりして働いている。
理学療法においては、この三者間の関係性を評価し、弱い要素には強い要素で補ってやるなど、
「知・情・意」バランスを保つことが重要である。


・左半球を言語脳と言えるように、右半球は非言語脳ということができる。
左半球は言語を中心とした行為、論理的思考、計算などを司る。
一方で右半球は空間・身体認知および、非言語的なコミュニケーション、
つまり状況判断や言葉の裏の意味などを司る。


・脳画像(脳出血)の見方として重要なのは脳出血部位だけではない。
血腫や浮腫によりテント上の頭蓋内腔の圧が亢進すると、圧の逃げ道である下方の
テント切痕部(つまり脳幹のあるところ)の圧が高まり、テント切痕ヘルニアになる。

これは網様体賦活系、動眼神経、非麻痺側錐体路などが圧迫により障害される。
つまり意識障害、動眼神経症状、非麻痺側の運動神経症状が出現する。
動眼神経の症状が出ていると、“病巣自体は動眼神経から離れているのに”脳が腫れていることを示す。

また反対側半球の天井レベルの脳溝に注目して欲しい。
脳溝が見えなくなっている場合は、出血や浮腫によって反対側まで脳が押され、
反対側の脳まで障害されている可能性がある。
つまり健側下肢がうまく使えない、すなわち立てない、と言えるのである。
あるいは、脳全体が腫れて、脳全体の機能が落ちていることを示す。

このように、脳画像をみる場合は、脳出血部位のみを見ているのではなく、
ミッドラインシフト、反対側脳溝、テント下切痕=カーノハン圧痕、脳幹網様体、動眼神経、
等を確認しなくてはならない。


・脳の機能はネットワークにて働いているため、一つの病巣であっても、複数の症状が出現する可能性がある。
よっていろんな要素・側面からみて評価していく必要がある。

人間の知覚とはひとつの触覚で認識しているのではない。
複数の表在感覚や深部感覚、視覚や聴覚、そして記憶を統合して、総合判断している。
つまり頭頂葉・後頭葉・側頭葉の三つを明確に分ける必要はない。
三者を知覚脳と考えることもできる。

高次脳機能の基盤として最も重要なのは「覚醒」である。この覚醒が不十分であると、
すべての要素的機能(注意・記憶・言語・判断・認知)が重症化し出現する可能性がある。

覚醒の次に必要な高次脳機能として注意・覚度がある。
この覚度も覚醒同様、他の要素的機能を二次的に悪化させる可能性があるため、十分配慮する必要がある。


・高次脳機能障害を有する脳卒中患者を見た際、考えるポイントは中核症状と周辺症状の鑑別である。
そして、今出現している症状と、今後顕在化してくるであろう(今埋もれている)症状を捕らえることにある。

・高次脳機能障害に対する運動療法は、その難易度設定が、
最も重要な視点の一つであると言っても過言ではない。
高次脳機能障害を有する患者は、出現症状に対する認識がないことが多く、課題に対する適応能力に欠けている。
よって難易度が高すぎる場合、容易にエラーを生じてしまう。


・高次脳機能の運動療法を考える際、まずは身体能力に目を向け、
目指すべき活動レベルに向けて身体能力を優先させて向上させる。
誤解してはいけないのは、治療を優先させるということは、やらないということではない。

その治療全体におけるウェイト・比率のことであり、高次脳機能面に対しても、
少しでも運動療法を容易に遂行できるよう最大限の配慮は同時にしていく。
しかし、あまりにも高次脳機能障害にとらわれるあまり、
歩行・立位訓練を中心とした運動機能訓練がおろそかになることは、危険である。

歩行を経験していない、あるいはさせていない、そのアプローチが、
結果的に廃用症候群を招き、本来獲得できたであろう運動機能まで改善しない可能性を含んでいるからである。





高次脳機能における数々のセミナーでご活躍の高倉保幸先生、杉本諭先生。


炎天下、時に大雨、雷、地震とアクシデントもあった埼玉。

そんな中、講師の先生方は、優しく、時に諭すように教えて頂きました。

御三方の講師の先生方の高次脳機能、理学療法にかける熱い想いが伝わり、

その「語り」は、ひとつ向こうの山からの、“高い”視点であると感じました。


目指すべき理学療法士像であり、人としての理想です。





すべては患者様のために
坪井 祥一
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