岐阜脳卒中リハビリテーション研究会
―その拠点は岐阜。  脳卒中リハビリテーションを、“机上の空論”や“小手先のHowto”だけでなく、「機能解剖から臨床応用へ」と繋ぐべく、活動していきます。
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●解説●第14回定期勉強会
●岐阜脳卒中リハビリテーション研究会主催●
●第14回定期勉強会のお知らせ● ※修了いたしました。


【テーマ】
脳卒中理学療法と作業療法の変遷 ~これまでと、これから~

【日時】
H24年2月28日(火)  ※修了いたしました。
18:30~20:30(予定)

【場所】
平成24年2月1日より、岩砂病院は新病院へ移転いたしました!
会場をお間違えのないよう、ご注意ください。

※なお、定期勉強会参加の方は必ず北側駐車場(無料)、もしくは西側駐車場(100円/時間)をご利用頂きますよう、宜しくお願いいたします。
詳しくは、コチラをご覧ください↓
http://gifunousocchuureha.blog.fc2.com/blog-entry-32.html

医療法人社団友愛会 岩砂病院・岩砂マタニティ 3Fリハビリテーション室
(〒502-0812 岐阜県岐阜市八代1-7-1)

【受講費】
無料

【スペシャルゲスト】
永井 貴士 先生 
(OT 平成医療専門学院 作業療法学科 専任教員)

【コーディネーター】
坪井 祥一
(PT 医療法人社団友愛会 岩砂病院・岩砂マタニティ リハビリテーション科)

【内容】
 脳卒中のリハビリテーションは、これまで様々な治療形態が用いられ、歴史と共に発展・変化してきました。

 近年では、脳イメージング機器の発明や脳科学の台頭により、脳の可塑性などに着目した“ニューロリハビリテーション”に注目が集まっています。

 今回はスペシャルゲストとして永井 貴士先生(OT 平成医療専門学院)をお招きし、脳卒中理学療法と作業療法の歴史的変遷を振り返ってみようと思います。

 そしてその上で、我々は今後どのような治療形態、治療戦略を用いていくことが、より望ましいのか、皆様とともに考えます。


【解説】
2000年代を迎え、早10年以上が経過しようとしています。

現代社会ではめまぐるしく新しいもの、考え方、価値観が生まれ、10年前では想像もつかなかったものです。


脳卒中理学療法・作業療法を見ても、時代とともに大きく様変わりしてきています。


これからのリハビリテーションがどんな方向へ向かっていくのか、を考える上では、

まず僕たちは過去を振り返り、自分の今いる立ち位置を確認する必要があると考えています。



~これまで~
日本の脳卒中理学療法の始まりは、1940年代まで遡ると言われています。

まず「古典的手法」であり、運動を何回も繰り返す中で、動作が改善してくるのでは
という経験則主義的な考え方が一般的にありました。

またその動作は背臥位→座位→立位→歩行という、“簡単”から“複雑”へといった
順に行なわれる方法論でした。

これは運動療法の根幹でもあり、現代のリハビリテーションにも、しっかりと根付いております。


1960年代になると、医学の世界で「神経生理学」が発展し、それを運動療法へと応用した、
いわゆる「神経生理学的アプローチ」が台頭します。

それは、反射や姿勢時筋緊張など陽性徴候を中心とした、
患者から観察される現象を根拠とするアプローチ手法で主に麻痺側の運動要素に主眼が置かれました。

ボバースやブルンストローム、PNFなどがこれにあたり、
現代においても、大変大きな“流れ”として存在しております。


1980年代になると、麻痺側だけでなく、非麻痺側筋力や全体の身体活動量を向上させようという
考え方が生まれます。

どちらかというと運動療法の“質”に重きを置いた「神経生理学的アプローチ」に対し、
運動の“量”や“方法”を重視し、非麻痺側の廃用症候群への対応をしなければならないと考えました。

したがって、この考えの下、リハビリ室内だけで完結しない、病棟自主訓練が重要視され始めます。


1990年代になると、これまでの“寝て治す”医療は、安静臥床による廃用症候群をつくる可能性がある
という大きな警鐘が鳴らされ、
医療の世界においても“寝たきり”を作らせない、という一つの時代変化が訪れます。

また同時に、早期リハビリテーションにより患者の早期回復が得られるという考え方も生まれ、
発症後運動療法の開始が大幅に早くなるという背景にありました。

よって脳卒中発症直後の運動療法を遂行すべく、弛緩期における体幹・下肢全体への支持を補償するため、
早期装具療法が生まれ、それによる早期歩行訓練が盛んに行なわれるようになりました。

またこの時期に、これまでのリハビリ室へ患者様が来室するような形から、
理学療法士自ら病棟へ出向き、病棟リハを行なうという形が盛ん行なわれるようになった、と言われています。


そして1995年ごろから脳科学の発展に伴い、「Neuro Rehabilitation」が台頭してくるわけです。


こう振り返ると、今僕たちが当たり前のように行なっている「運動療法」は、
確かに、この時代の流れの中で培われた、最も最良である方法論であることを、示してくれているように思います。

では、これまでの過去を踏まえた上で、2010年代を迎えた僕たちは、
現代の科学を元に、どのようなリハビリテーションを行なっていくことが望ましいのでしょうか。



~これから~
「現代の医学はめまぐるしい発展を遂げ、MRIの普及や新薬の開発など、まさに日進月歩である。

 リハビリテーションの現場に目を向けるとどうだろう、いまだに患者の現象を目で眺め、手で感じようとしている。

 問題はそれ自体ではなく、現場の人間が、何も疑問をもつことなく、ただそれを繰り返していることである。」

と、藤田保健衛生大学のリハ医師でおられる才藤 栄一氏は現場の姿勢に警鐘を鳴らしておられます。

現場のリハビリテーション効果をあげたいのであれば、
そのツール(リハビリテーション機器)は現場の人間自ら発明・発展させろと。

そんな時代背景の中、様々な脳機能検査機器・治療機器が発明され、臨床応用がすでに始まっています。


Diffusion Tensor Tractgraphyでは主に錐体路の可視化と定量化が可能で、
麻痺側錐体路の残存程度、損傷具合を判断し臨床へ応用しようという試みが盛んになされております。

これは特に皮質脊髄路の“随意的な運動要素”を考える上では有用であると考えられます。
しかし運動は随意的要素のほかに“自動的な要素”もあり、
生得的に獲得された歩行、咀嚼、まばたきなどリズム運動は脳幹-脊髄路系で制御されているとも言われております。

姿勢制御においても、意図性(随意運動)と自動性(無意識的姿勢制御)は乖離していると言われ、
主に外側運動制御系が四肢末端の随意運動制御を、内側運動制御系が体幹および四肢近位筋の姿勢制御に
関わると言われております。

つまり、皮質脊髄路が損傷され随意的な巧緻運動は不可能でも、
脳幹-脊髄系が残存されていれば、無意識的な姿勢制御や、自動的なリズム運動=歩行は可能なのでは、
という理論が考えられるわけです。


この理論の下、天井に取り付けられたハーネスに体重を部分免荷されながら、(トレッドミル上を)歩行する
Body Weight Support (Treadmill) Training が生まれました。

近年では、生体から感知できる筋電をリアルタイムに解析し、
装着しているロボットアームに内蔵されているモーターが実際の運動機能を補助・向上させる、
HAL (Hybrid Assistive Limb,サイバーダイン社)と呼ばれる、
ロボットスーツ型のリハビリテーション機器も発明され、脚光を浴びています。


一方で、大脳皮質が関与する随意的な運動要素を改善させようという試みも積極的に展開されております。
fNIRSなどがその代表で、実際に活動している脳部位を、血流量の変化などにて
可視化することが可能といわれております。

これらの研究の中で、実際に運動している時の脳血流量の変化と、
実際に運動はしていないが運動しているようにイメージする時の血流量の変化が
類似しているという事実が判明しました。

この理論より、メンタルシュミレーションと呼ばれる技法や、認知運動療法で用いられる、
知覚認知(弁別)課題などが生まれ、実際に効果をあげつつあると言われております。


このような脳表からアクセスできる機器の発展により、
すでにBrain machine Interface (BMI) といった、人間の動きをリアルタイムでロボットが再現できる
という機器も存在し、各界から今後の研究に期待が高まっています。

さらにはrTMSのような脳表から実際の脳の活動を操作してしまおうという機器も発明され、
治療的電気刺激との併用などにても、
特に麻痺側上肢機能の改善に効果があるといった報告も見られるようになってきております。


このように脳全体を検証、あるいは操作することで、
脳卒中特有の運動障害に対し新たな効果を検証しよう、という試みが各地で盛んに行なわれており、
もはや運動が「一次運動野」のみではないことは、いわずもがなであると言えます。

特に中央実行機関でもある「前頭前野」は、人間の思考や理性などと深く関わり、
人が人である理由を示す、最重要部位であります。

「前頭前野」を中心とした認知-情動系が正常に機能することで、
運動は場に合った適切な行動へと成立し、我々は社会的な人間関係を築いてゆけるのです。


近年では Social Nuero Rehabilitation と呼ばれ、
他人との注意を共有する共同注意場面によって、人間は共感し、行動を省み、学習していくと言われております。


リハビリテーションの中においても患者様との認識を共通のものに深め、共感し、ともに歩み、そして喜ぶ。

そんなやりとりが、きっと大事で、それがリハビリテーションの本質なのでは。


今回スペシャルゲストとしてお招きした永井 貴士先生には
「概念実践モデル」のヒエラルキーを一つの考えとして示して頂きました。

人間全体として捉えると、それは臓器、システム、人間、社会・文化という下位から上位へ構造をなしており、
リハビリテーションにおいては、出きるだけ全てを網羅できる(ミクロからマクロまで)と良い、
という考えを提示していただけました。


つまり例え、解剖学、運動学、生理学に立脚した運動療法を提供していても、
それは下位構造である臓器やシステムにアプローチしているのに過ぎず、
上位構造である人間や社会・文化という側面にアプローチしていくためには、
COPMやMOHOといった人間作業モデルのような考え方を生かしていく必要性があると教えてくださりました。


また人間の生活、社会、人生を捉えていく上では、
ADL、睡眠、レジャー(自分のために)、仕事(他人のために)
という4つの側面をふまえていくことが大切であり、
我々が重きを置くADLは、その1/4でしかない、ということを協調しておられました。


人間は生きている限り、誰しも誰かの役に立ちたいものです。
それは例え病気になり、入院しようが失われることはありません。

その人における、仕事やレジャーという価値観を共有していけることが、
人間の本質をリハビリテーションしていくことに繋がるだろうと思われます。


もしかしたら人間の本質、他人の気持ちも知らないで、リハビリテーションは難しいのかも知れません。
僕たちが必死に勉強し、たとえ“やってあげたい”治療方法も、
実際に患者様が“やってほしい”治療や、求めていることとは違うことが往々にしてあります。

患者様からの「真のニード」を聞き取りしていく、
そんな努力やセンスを培い養っていかなければ、と改めて、感じています。



『人は人との関わりの中で、生きていく。』



そんな基本的な事であるのだけれど、

社会の中で生きる人間が、また社会に帰っていく過程を支援するリハビリテーション職は、

もう一度、その基本的かつ最重要な理念を見つめなおす必要があるのかも知れません。





今回は、当研究会初の試みであるディスカッション形式にて勉強会を開催いたしました。

従来のレクチャー式とは違い、様々な立場の異なる方々からの意見を頂き、
有意義な時間となった、と思います。

【文責|坪井 祥一】
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コメント
コメント
勉強会参加させて頂きありがとうございました
本当に久しぶりでした。すばらしい勉強会で早速次の日から患者さんに生活を聞きましたよ。
自然と会話が弾む♪
やっぱり生活あってのADLですよね。
学生にも「生活をみなさい」とか「人生の一部に僕たちは大きく関わるんだよ」とか偉そうな事言ってました。すいません。一番患者さんの事わかってないのは僕でしたね。ほんとに。
今回の勉強会ではいい意味で「洗脳」されました。自分の考えがきれいに整頓された感じでした。「ブレイン・ウォッシュ」でした。
また機会あったらぜひ参加します。
県士会頑張ってください。
2012/03/05(月) 22:16:37 | URL | Hara #eFDVcVZY [ 編集 ]
Re: 勉強会参加させて頂きありがとうございました
コメントありがとうございます。
そうなんですよね。
学生サンに対し、もっともらしいことを言うのだけれど、
自分を省みると、そんなに自信もなければ、経験もないというのが、
今の自分です。

知らないことが多すぎて、打ちひしがれそうにもなりますが、
なんとかそこを乗り越え、皆様に還元、共有できるように
なりたいと思っております。

今回は遠方からの参加ありがとうございました。
また是非お越しください。
2012/03/08(木) 14:38:28 | URL | 岐阜脳卒中リハ研究会 #- [ 編集 ]
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